「カエル池」を掘ろう

シーズン:12月から1月


環境変化に弱いカエルたち

 カエルやサンショウウオなどの含まれる両生類は、この地球で初めて、陸上という過酷な環境に挑戦した動物の子孫です。しかし、卵はまだ乾燥を防ぐ固いからに包まれておらず、幼生はえら呼吸をするため、産卵と幼生の生育に水環境を必要とします。幼生は変態を経て成体となり陸上生活に移行しますが、成体となっても皮ふが粘膜状で、乾燥した環境には暮らすことができません。また、成体になっても水中で生活を送る種類も少なくありません。このようなことから、両生類は環境の変化に弱く、とくに乾燥化や化学物質による汚染に弱いことが指摘されています。成体が陸上生活を送るカエルにとっても、生殖・産卵・幼生の生育場所である水辺の消失は、生活史の重要な一部を失うことになり、致命的です。
 またオゾンホールの拡大による紫外線の増大、ダイオキシン類を始めとする環境ホルモンが、両生類の生殖・発生機構に影響を与えるという懸念も報告されています。両生類は世界的に減少傾向にあり、また同一種内でも大型の個体が少なくなるなど衰退が心配されます。
 カエルたちの今は、私たちの明日かもしれません。


カエルがいる環境を守ろう

 カエル類は日本の農村的環境においては食物連鎖の中位に位置する捕食者であり、水田においては害虫を食べてくれる有益な生物と見られていました。一方サシバ、ノスリなどタカの仲間やサギ類などの野鳥、タヌキやイタチ、さらにヘビ類(とくにヤマカガシとシマヘビはほとんどカエルしか食べない)がカエルを重要な食物として利用しています。カエルは農村生態系の中でそのカギとなる重要な存在といえます。少なくともカエルがその生活史を全うできる環境が整っていなければ、カエルに続く生態系は成立しないか、非常に脆弱なものになってしまうでしょう。
 関東地方の平地から丘陵地にかけての普通種は、アマガエル、シュレーゲルアオガエル、ニホンアカガエル、ヤマアカガエル、トウキョウダルマガエル、ツチガエル、アズマヒキガエルです。帰化種のウシガエルも池や河川の中流域などで見られます。モリアオガエルはやや山地性で、平地では見られません。


近所にこんな場所はありませんか?

 台地や丘陵を小川が削った浅い浸食谷、いわゆる谷戸や谷津といわれる環境は、カエル類の生息にとってとても大切な場所でした。このような場所は古くから水田として利用されてきましたが、この水田がカエルの産卵場所になっていたのです。ところが、このような場所は生産効率が悪いために放棄されたり埋め立てられてしまうことが多くなっています。
 放棄された谷戸の水田は左の写真のように植物におおわれ、しだいに乾燥化していきます。水たまりがないので、カエルは産卵することができません。もし近所にこのような場所があったら地主の方と話をして、冬のうちに水たまりを掘ってやれば、カエルたちを救うことができます。わきに水の流れがあるようなら、そこから水を引いてやります。湿地であれば少し掘り下げるだけでも池ができるでしょう。
 長ぐつと軍手を用意し、泥がはねて汚れるので、着替えも必要です。まず、カマで枯れた植物を刈り、取り除きます。次にスコップを使って少しずつ掘っていきます。深さは10〜15cmもあればいいです。ようするに田んぼの深さでいいわけです。掘った土はまわりに積み上げておきましょう。下の写真ができあがったカエル池です。やわらかくして土手をつくってやると、シュレーゲルアオガエルが産卵しやすくなります。

 アカガエルは暖かい地方では12月頃から卵を産み始めるので、この作業はできれば年内か年明け早々までにすませるとよいでしょう。冬場の作業なので寒さには十分気をつけましょう。温かい飲み物を用意し、少しでも寒さを感じたら作業を中断して暖を取ります。


身近にみられるカエルたち

 ヤマアカガエルは丘陵地から山地に多く、平地にはニホンアカガエルの方がよく見られますが、丘陵地帯では混生しています。アマガエルはもっとも広く分布しており、住宅地にもしばしば見られます。シュレーゲルアオガエルは丘陵地〜台地の水田(谷津田)を中心に、場所によっては平地の水田にも見られます。アズマヒキガエルはふだんはよく茂った樹林地や庭にも生息し、産卵期には数キロメートルまで移動して産卵場所に集まることが知られています。都心でも、産卵する池と緑地があれば生息しています。
 ツチガエルは平地の水田から離れず暮らすカエルですが、近年数が少なくなっています。トウキョウダルマガエルは古い時代にダルマガエルとトノサマガエルとの間で交雑が起こった子孫と考えられ、関東地方から東北南部・新潟にかけて分布しています。トノサマガエルやダルマガエルとは生息域がほとんど重なりません。
 カエルの生活史はそれぞれの種によって異なりますが、ここにあげたのは池や水田など止水(たまり水)に産卵するカエルばかりで、ほとんど同じ環境で産卵できます。産卵時期が少しずつずれているので、多くの種類が産卵にきてくれれば、早春から夏にかけてオタマジャクシの姿が絶え間なく見られるでしょう。
 カエル類は、水辺だけでなく周辺の草むらや林などの環境の組み合わせがあって、はじめて生活史を全うできます。このような場所は、ホタルやトンボなどの多くの昆虫にとっても重要な場所です。

 身近にみられるカエルについては身近で見られるカエルを参照してください。


カエル関連ページへのリンク

身近なカエルとヘビ
奈良教育大学自然環境教育センターのホームページ。奈良県内で見られる両生・は虫類の図鑑があります

天然記念物モリアオガエルと生息地大興寺
京都・福知山市にある臨済宗大興寺のホームページ。モリアオガエルの写真と声が聞けます


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